日経新聞に掲載されていました「どうしてこんなにコロナ感染者が減少したのか」
という記事をまとめてみました。
「一時的に強い集団免疫」 東邦大教授 舘田一博氏
1,ワクチンの効果と基本的な感染対策の徹底が非常に強く出たためと考えている。新型コロナウイルスのワクチンは2回目接種から約2週間後に効果が強まり、次第に下がっていく。
7月から64歳以下の人の接種が急激に進み、ワクチンの効果が最も強い状態の数千万人の集団ができた。
ちょうどデルタ型で感染が拡大した時期と重なり、若い人を中心に多くの人が感染した。若い人は感染しても無症状かほとんど症状のない「不顕性感染」が多く、実際には検査で感染が確認された人の3~4倍は感染者がいただろう。
2,ワクチン接種が急速に進み、同時にタイミングよく不顕性感染を含めて免疫を持つ人が急増したことで国内の一時的な集団免疫効果が強く表れ、8月半ば以降に感染者が急減した可能性があるのではないか。
3,さらに日本は基本的な感染対策で、マスクを着用し、密集を避け、十分換気する。緊急事態宣言解除後も会食を控えるなど対策を一気に緩めていない。
新型コロナワクチンも接種率だけでなく、今回のように接種するタイミングも重要だろう。
「日本独自の型で変異か」 東大名誉教授 黒木登志夫氏
1,公表データから夏の「第5波」について計算すると、東京では8月下旬~11月1日にかけての下降期に新規感染者数が8.6日で半減のペースで急降下した。減少率は99.9%と、あり得ないような数字だ。このまま行けば12月上旬には1人になる。
ワクチンの効果については、2回接種を完了したうちの約2割が「ブレークスルー感染」を経験する。接種率60%の段階では感染予備軍が人口の52%になる計算で、新規感染者数は高止まりしたはずだ。
では何が原因か。特に国内では日本独自のデルタAY・29型が第5波の主流で、これが収束に向かったのではないか。仮説だが、ある遺伝子領域に変異が追加され、感染性が失われるといったことが起きている可能性がある。
「変異重ねた末に自滅も」 阪大特任教授 松浦善治氏
1, 患者の急減はウイルス側に理由があるのかもしれない。様々なウイルスのうちで、遺伝情報をRNA(リボ核酸)に載せた「RNAウイルス」は変異を起こしやすい。
強い感染力を持つ新型コロナのデルタ株はあまりに多くの変異を起こしすぎ、人間に感染した時に増えるのに必要な物質を作らせる遺伝情報が壊れるなどして、自滅しつつあるのかもしれない。
2, ウイルスはRNAやDNAが入った微小なカプセルで、生物ではなく、意思も持たない。もともとは野生動物や家畜に静かに感染していたウイルスが、人間の間で流行すると人獣共通感染症になる。新型コロナのほか、2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、鳥インフルエンザもそれに当たる。
人間が自然を破壊し、それまで森林の奥深くなどにいた動物と密に関わる限り、こうした新しい感染症は続々と現れるだろう。
「行動制限の効果は不明」 東大准教授 仲田泰祐氏
1,我々は3つの要因を分析した。1つ目はデルタ型の感染力が想定以上に小さかった可能性だ。7月後半の急拡大を見てデルタ型はアルファ型の1.5倍と設定して感染見通しを立てたが、再検証すると1.2倍とした試算だ。見通しと現実の差には個人の免疫力の違い、生活や仕事を共にするコミュニティーから外への広がりにくさなども影響。
2,2つ目は人々のリスク回避傾向だ。報道で医療逼迫を知り、感染しやすい行動を避ける傾向が強まった可能性がある。
3,過去の動向は120日周期の波で統計的には説明できるが、問題はなぜ周期が生まれたかだ。新しい変異型が生まれることが理由であれば、今後の感染は増えにくいと言える。
今のところデルタ型を超える感染力の強い変異型は出ていないからだ。だが、人々の警戒心が理由なら、警戒心が薄れることで再び感染増に転じる可能性がある。
追加的な人流抑制をしなくても感染が急速に減少することがあるというのが、この夏の最大の教訓だ。
感染急増が起きた際には、感染抑制策をどの程度厳しくするかを巡って、政策決定者と科学者の間で摩擦があったので、科学者側で政策決定者を動かすような説得力のある分析ができていたかを検証することも必要だ。
→専門家でもよく分からない感染者の急減ですが、
オーソドックスにワクチンの普及と日本人のマスクの常用、アルコール消毒の徹底などの、
日常的な感染症対策が功を奏していると考えて良いのではないでしょうかと
私は思っています。